■オレ、カブトムシ。

 

「カブトムシを見つけたら、捕獲せよ~!」

 

オレは、協力業者やお取引先の従業員さん達にまで四方に伝達された一声のおかげで、

いま、タケダ家の廊下というところに住んでいる。

仲間は全部で8匹。のはず。

3軒の住まいに雌雄のペアで分けられたから、

その後ヤツラがどうしてるかは、オレにはわからない。

 

いつもニンゲンが暮らしてる部屋は寒くてまいったが、

蒸し暑い廊下に並べられた住まいは、

なんだかキレイなゼリーとやらを

毎日取り替えてもらえて、

適度な湿り気のある寝床もある。

 

一度、フタを持ち上げて自由な身になってみたが、

同じ住まいのヤツラを誘っても、オレだけで、仲間はついてこなかった。

捕まらないように潜んでたんだが腹が減ってきたら、

このゼリーとやらの甘いニオイにつられてしまったんだ。

オレは、またもとの住まいに戻されたよ。

 

でも、ま、いいか。

ここにいればゼリーとやらにありつけるし、気立てはいいがちょっと気の強い雌もいるし、 

うん、意外と快適な生活だ。

 

夜がオレたちの活動時間。

ゴソゴソ、バババババババ(羽音)と音を立てるとニンゲンはビックリするんだな。

 

お、明るくなってきた。

そろそろ穴を掘って、土に潜るとするか。